新釈走れメロス 浅見家の本棚 #49

浅見家の本棚




新釈走れメロス/森見 登美彦

もし『好きな作家』を挙げるとしたら…

百が一、千が一…いえ、万が一にも無いことだと思われますが、もし『あなたの好きな作家を一人教えて下さい!!』などと、例えば福島駅や郡山駅などにおいて街頭インタビューを受けてしまいましたら、私は甚だ困ってしまいます。

日本人特有の気恥ずかしさというものを有り余るほど持ち合わせているからという理由もあるのですが、それよりも私を悩ませるのは”好きな作家を、とても一人には絞り切れないから”なのであります。本好きの皆さんも、自らの身に置き換えて考えてみて下さい。到底無理な質問です。




私の好きな作家は、伊坂幸太郎さんと森見登美彦さんです。

そのため、繰り返しになりますが万が一にも『好きな作家を一人だけ述べなければならない』という状況に陥ってしまったら非常に困りますので、どのように回答するかを私は今から決めているのです。

『二人なら挙げれますよ』と。

だいぶ絞れてるじゃん…との声、多数かと思います。断腸の思いで絞りに絞ったその二人というのが、私の場合は伊坂幸太郎さんと、この本の著者である森見登美彦さんです。

前者の伊坂さんについては、これまでの『浅見家の本棚』でも何度か語っておりますし、今後もまた別の機会に触れるとしまして、ここでは後者の森見さんについて述べたいと思います。
森見登美彦さんの代表作として真っ先に名前が挙がるとしらた『夜は短し、歩けよ乙女』ではないでしょうか。これら代表作にも見られる通り、森見さんの紡ぐ文章はただ美しいばかりではなく、時には表現しようのない阿呆さと圧倒的な語彙力が作用し、私をただただ楽しませてくれるのです。

原作古典をリスペクトしつつ阿呆なテイストに仕上げる、森見さんの手腕

これは私が個人的に多くの人に言っていることなのですが、小説を読んでまるで漫画のように笑わされたのは、後にも先にもO・ヘンリと森見さんだけであります。本作は、そんな不世出の作家・森見さんが、我が国のレジェンド級の古典作品を、現代の腐れ大学生らを中心人物に据えて改変、そしてタイトル通り新釈化したものです。

『芽野史郎が激怒した。必ずかの邪知暴虐の長官を凹ませねばならぬと決意した。』

という冒頭部分なんて、もう腹を抱えて笑うしかないじゃないですか。反則ですよ、こんなの。

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