『絆』浅見家の本棚 #27

『絆』/島田 明宏

実はこの本を原作にしたドラマが春に放送されていたのです

本書の著者は、普段からジョッキーの武豊機種と親交の深い島田 明宏氏。この『絆』の他にも、『誰も書かなかった武豊 決断』など本を出されていますね。

さて…実はこの作品なんですが、今年の春(3月頃だったと記憶しています)にNHKにて二夜連続で放送された同名のドラマの原作でもあります。私の場合は、そのドラマを見た後にこの本を読んでしまったわけですが、ドラマと原作とでは、もうほとんど別の作品と言ってもいい位の相違点がありました。




消化不良のドラマとは違った原作

時間の枠という逃れようのない制約があったせいなのか、原作の方に出てくる登場人物の一部はカット。肝心のストーリー自体も、本書の表紙にも描かれているリヤンドノールのデビュー戦で終了(しかも、大幅な出遅れでレース自体もある意味終了)。

そんな消化不良感満載の結末を前提に読み始めたこともありまして、本書は良作とでも申しましょうか、”競馬”をテーマにした小説として普通に楽しみながら読み進めることができました。

ドラマの方については、形として厳しい評価を下さざるを得ないといったところ。このブログはあくまでも書評ということですから、本をメインに据えている都合上ドラマなどにはあまりタッチしたくないのですが、敢えて言わせて頂きたいと思います。

『絆』と付ければいいわけではありません

ドラマは確かにキャスト陣は豪華(役所広司、新垣結衣、岡田将生など)だったかもしれませんが、総じて作りは雑であったと素人ながらに思ってしまいました。先述した通り、時間枠という厳しい制約があったのかもしれませんが、登場人物の一部がカットされていたり、主役であるはずの松下拓馬が震災で亡くなっていたり、騎手免許返上していた元ジョッキーが簡単に復帰出来ているし、リヤンドノールは芦毛じゃないし。

なんと言いましょうか、原作者である島田氏がよくこの内容でOKを出したなぁと疑いたくなるようなレベルのものでありました(ネタバレすみません)。3月に放送されたことから、東日本大震災から6年が経ち『絆』と付ければ誰しもが感動する…といった安直な考えで制作をしたのだとしたら、それは大いなる勘違いであると私は断言致します。

とはいえ、ここまでドラマに対して厳しいことを述べてしまったのは、原作が楽しかった証拠でもあります。ドラマを見た方も、競馬ファンの方にも是非お勧めしたい一冊です。

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