税務署員だけのヒミツの節税術/大村 大次郎
サッカーのワールドカップ等で賑わった2018年も、残すところ1カ月弱となりました。
年が明けると、特にお店を経営されている個人事業主の方にとっては確定申告という、頭の痛い季節となります。
今回は、そんな確定申告における節税術の本をご紹介。
著者はなんと、元・国税局職員という肩書の大村大次郎氏。
国税調査官だった自身の経験から語られる本書の内容は、『え、そんなことまで言っちゃっていいの?』とこちらが心配してしまうほどのもの。
では、今回も要約して参ります。
第1章 サラリーマンのほとんどは税金を払い過ぎている
この章では、主に私のようなサラリーマンを対象とした節税術が紹介されています。
サラリーマンには特に経費がありませんから、ここで挙げる節税術とは、つまりは『控除』の方法について。
元・国税局の方がここまで挙げてくれると、心強い限りですね。
こういう場合、税務署は教えてくれない。
扶養家族は、必ずしも同居していなければならない…というわけではない。
生活費を負担してあげていれば、扶養という扱いにできる。
また、妻の年収が103万以下でも、控除は受けられる(配偶者特別控除)。
損失額が5万円以上の場合、『雑損控除』となる。
具体的には所得が200万円未満の人は、医療費控除のハードルが下がる。
また、家族の社会保険料も自分が払ったことにできる。
とはいえ、バツイチ男子も条件を満たしていれば狙える。
住宅ローン控除は所得控除ではなく、税額控除なので節税効果がとても大きい。
第2章 確定申告のポイントは”公私混同”
ここからは、ようやくお店や会社を経営する方にスポットを当てた内容。
確定申告のポイントは…ずばり『公私混同』ということなのですが、その真意とは?
※ただし、金額を按分しなければならないケースがある。
普段の支出を事業の経費にして落とすので、手元のお金を減らさずに節税できる。
キャバクラも接待交際費の条件(自分1人ではない、仕事についての話をしている等)を満たせば経費にできるが、やり過ぎはダメ。
ただし、この場合は金額に注意。
10万円を超えると原則は減価償却資産となり、一気に経費に計上できない。
第3章 知らないと損する確定申告の裏ワザ
第3章は裏ワザ…というタイトルになっていますが、比較的メジャーな方法が紹介されています。
私自身も仕事で確定申告等に携わることが多いので、この辺の手法は積極的に活用するように勧めているところです。
・青色申告…専従者給与
・白色申告…専従者控除
国民年金+αの公的年金で、支払額の全額が控除となる。
前納制度もあるので、所得が増えた年に払ってしまう手もアリ。
・中小企業倒産防止共済…連鎖倒産を防ぐための共催。最大240万円が所得控除。
どちらも経営者個人や企業の定期積金のようなものなので、節税効果は大きい。
地元の金融機関や、商工会議所に相談を。
耐用年数を2年にできるので、購入費の半額を減価償却費に計上できる。
第4章 本当は危ない青色申告
事業者の決算方法には、青色申告と白色申告が存在。
『それぞれメリットがあるが青色申告は危ない…』というのが本章のミソなのですが、個人的にはやはり青色申告がおススメです。
その理由は、以下に記します。
白色申告は、記帳が簡易的が節税効果は小さい。
しかし、2014年1月から白色申告者にも、記帳義務が生じることとなりました。
その観点から、『どうせ記帳を行うのであれば、節税効果がより大きい青色申告の方が有利』だと私は思います。
第5章 税務署に騙されるな!
『税金をどれだけ多く納めさせるか』ということ。
彼らにはノルマもあり、決して正義の味方ではない。
担当者によって、見解が違うことも多々ある。
税金が安くなることについては、ほとんど教えてくれない。
冒頭でも述べましたが、本書の著者・大村さんは元国税局の職員。
内部を知り過ぎる位に知っているので、興味深い内容が満載の1冊でした。
間もなく年末を迎え、年が明けると確定申告のシーズンが近づいてきます。
本書で学んだ内容を元に、払い過ぎているかもしれない所得税の見直しをされていはいかがでしょうか?
…それにしても大村さん…こんなに内部事情を暴露しちゃって大丈夫なのでしょうか?
コメント