日本再興戦略/落合 陽一
【再興】(さいこう)
いったん衰えたものが、勢いを盛り返すこと。
また、もう一度盛んにすること。
人工知能(AI)やブロックチェーンを始めとするテクノロジーの進歩、人口減少問題、少子高齢化等の社会現象などなど…
私達の未来は、これまでと比べて大きく変わりつつあります。
メディアアーティストや筑波大学学長補佐として全国的に活躍している本書の著者・落合陽一さんは、この本を通して私達に何を伝えてくれるのでしょうか?
先行き不透明な我が国が、将来に向けてどのように舵を取っていけば良いのか…
皆さん、普段スマートフォンをお使いになっている方が多いと思いますが、機種の中に入っているアプリは定期的にアップデートが行われます。
バグを修正したり、更に使いやすくしたり…。
落合さんの描く再興戦略のベースは、それと同じ。
『過去において日本は何が機能し、何が合わなくなってきたのか』ということを見極め、最適化することが必要だ…というのです。
本書の内容を、以下、各省毎に要約してみましたので、参考にしてみて下さい。
詳しく読んでみたいという方は実際に購入することをおススメします。
第1章 欧米とは何か
たのが、現在の日本(そのため、時代に合わない部分が沢山ある)。
※特にITのソフトウェアの面で、シリコンバレーに大きく遅れを取った。
第2章 日本とは何か
江戸時代の『士農工商』という身分制度は、実はとても良い序列である。

基本的に『商』の層は何も生産をしない・できない人達。
この先AIが普及すると、真っ先に省人化が進む。
これからは、生産する層(『農』『工』)に重点を置く戦略が必要。
『ものづくり』へのリスペクトを回復させることが、日本の再興へと繋がる。
第3章 テクノロジーは世界をどう変えるか
【自動翻訳】
AIの普及により、自動翻訳機能が大幅に進化する。
外国語を、今ほど必死に習得する必要はなくなるかも。
【ロボティクスと自動運転】
自動運転が更に普及すれば、時間の有効活用や渋滞・事故の減少が期待できる。
その他、物流コストも下がる。
【5G(次世代通信システム)】
現在の4Gと比べて、通信速度は約100倍。遅滞がほぼ無くなる。
遠隔地からの手術や介護、3次元空間の共有、自動車のオンライン化も進む。
第4章 日本再興のグランドデザイン化
①人が少なければ、自由化・省人化がスムーズに進む。
②人口減少・少子高齢化の対策モデルを輸出し、他国に売ることができる。
③子供への教育投資が社会善となる。
駅やコンビニの無人化が進む。
これらを地方自治体の新たな財源とし、投資を行うことで税収を増やす。
→ローカル経済圏の確立(非中央集権が進む)
第5章 政治(国防・外交・民主主義・リーダー)
中国を挟み込めるし、宗教的にも元は同じ。
カーストという身分制度も日本と相性が良い。
非中央集権サイズで小さく区切った方が良い。
尖った人物をトップに据え、足りない所は今後発達してくるAIで補えば良い。
第6章 教育
第7章 会社・仕事・コミュニティ
①士・農・工の層の所得を上げ、ホワイトカラー層(『商』の層)の整理を進める。
②男女のフェアな扱い(『男女平等』とは違う)
③年功序列との決別
士・農・工の地位の確立化と、老若男女のフェアな扱いを実現させて生産性を上げる。
以上、落合陽一さんの『日本再興戦略』を要約してみました。
日本は今、一昔前と比べて活気を失っていると言われています。
だからこそ『再興』という言葉が出てきているわけでして、そんな現状を考えると憂鬱な気もしてきますが、著者の落合さんはこうも言っています。
我々の世代の次の一手で、日本のこの長きにわたる停滞は終わり、戦況は好転する。
バックグラウンドとビジョンを拡張し、世界に貢献する。
日本にとって、そして世界にとって、今ここが『始まったばかり』。
(本文より引用)
ネガティブなことばかりではありません。
ここからスタートさせれば、日本の未来はそれほど悲観するべき状況ではないと思います。
『しっかりと準備し、来たるべき時代の変化に備えなければならない』ということは勿論ですが、そのような前向きになる姿勢を本書を通して学べたような気がします。
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