限界集落株式会社/黒野 伸一
人は改革の中身ではなく、その人物で判断する
前例や固定観念を打ち払うことこそが、改革に向けた第一歩と言われています。私の職場の上司なんぞは、それこそ正に大の『改革』好きで、自らを『革命の申し子』と自負しております。付き合わされる私達は、アイディアではなく溜息しか出ないのですが、そんなことなどお構いなしに日々変化を求められております。
以前読んだ別の本で、面白い表現がありました。童門冬二氏の『小説 河井継之助』における、組織の改革についての件です。その内容をようやく致しますと、
人間は一見改革を嫌うようなイメージがあるが、実は違う。また、改革の内容を嫌がるのではなく、その改革を行おうとしている人物を嫌っているだけなのだ。
と、いうことなのです。先述の私の上司の件もあります。
正直に告白しましょう、ただただ腑に落ちたのでありました!!
若者、ばか者、よそ者が起こす改革、町おこし
確かに、私の上司が行おうとしている改革という名の自己満足は、合理性の面からみてみますと、なるほど納得できる部分も無くはないのです。ただ、改革が行われた後の、起案者(つまり、上司)の『してやったり顔』を思い浮かべたくがないために、我が職場全体ではその上司に対して、あさま山荘に立てこもった連合赤軍ばりの必死の抵抗を続けているのです。
この本の主人公・多岐川 優は、無くなった祖父の家(山間の限界集落)にバカンス気分で立ち寄るのですが、ふとしたことをきっかけに、村おこしを決意してしまいます。かつて自分が都会で経験してきたビジネス手法で様々な事業計画を立ち上げるのですが、当然集落の住民からすれば、彼は『よそ者』以外の何者でもありません。よく、町おこしなどに必要な3つの要素は『若者、ばか者、よそ者』などと表されることが多いですが、正に言いえて妙でありますね。
改革を進めても、嫌われない人間を目指そう!
優は、当初は住民や行政の反発に遭うため、なかなか思うように物事が進まないのですが、この手の物語は最後に成功と言いましょうかハッピーエンドが待っているのが常でありますのでハラハラしながらも楽しく読み進めることが出来ました。
また、本書はそこかしこにビジネスのノウハウ的な表現も用いられておりますので、これから社会に出る学生さんなんかにもおススメできる内容かと個人的には思いました。
改革を進めても、嫌がられない人間になりましょう。私が例の上司から学んだことはその一点です。
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