1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365 #10

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1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365/デイヴィッド・S・キダー 他

エジプトの歴史は、本当に興味深いものです。
その長い歴史において、『アテン神』という新たな宗教の導入を進めたアメンヘテプ4世という王がおりました。



アメンヘテプ4世は、在位中に自分の名前を『アクエンアテン』と改名。
『アクエンアテン』とは『太陽神アテンに仕える』という意味で、大きな宗教改革が行われました。

世界各国の歴史を紐解いていくと、いつの世も宗教改革は容易ではありません。
おそらくアクエンアテンに対しても、従来のアメン神支持派からの抵抗があったと推測されますが、彼を支えた一人の人物が一連の改革に大きく関与をしたとされています。

その人物こそが、今回のテーマになっているネフェルトイティです。

アクエンアテン(アメンヘテプ4世)は、あのツタンカーメンの父とされていますね。

古代の王
古代の王

なんだ…主役は私ではないのか…

【視覚芸術】ネフェルトイティの胸像

エジプト美術の中でも非常に有名な作品のひとつであるネフェルトイティの胸像は、石灰岩製で、1912年にドイツ人考古学者ルートヴィヒ・ボルハルトによって、現エジプトの町アマルナ近郊で発見された。
古代の彫刻師トトメスの工房跡で見つかったもので、ボルハルトはこれを壊れた陶器だと偽ってひそかに国外へ持ち出した。
ネフェルトイティは、かつてエジプトを支配した王・アメンヘテプ4世の王妃。
王に匹敵する高い地位を与えられと言われており、政治にも関与するなど極めて大きな権力を握っていた。



しかし…そんなネフェルトイティも、『アクエンアテン』と改名した夫のアメンヘテプ4世と共に、死後はその痕跡が消し去られた。
旧来の宗教を否定されたことに恨みを持つ、神官の仕業だとされている。
発見された『ネフェルトイティの胸像』は、約3,400年前に作られたもの。
耳たぶが欠けている位で、ほぼ完全な状態だったが、左目がはめこまれておらず未完成品だったと推測される。
学者
学者

職人は、多くを語らず…。

真実は、皆さんのご想像にお任せするとしよう。

胸像を作ったとされるのは、古代の彫刻師トトメス
かつての王妃のために作られたのか、弟子への指導用見本として作られたのか、詳しいことは現在も分かっていない。
2003年、既に発見されていたミイラのひとつをイギリス人考古学者ジョアン・フレッチャーがネフェルトイティのものだと主張。
しかし、エジプト当局がその主張を認めなかったことで話題となった。
王妃の胸像は、最も知られているエジプト美術であると同時に女性美の典型。
『ネフェルトイティ』という言葉は、『美しい者が来た』という意味。
現在は、ベルリンの新博物館で展示・保管されている。



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