AIが神になる日/松本 徹三(SBクリエイティブ)

浅見家の本棚
AIが神になる日/松本 徹三(SBクリエイティブ)
 

 

『AI』を聞くと、皆さんは何を連想するでしょうか?
何か困ったことがあるとグーグル先生に頼ってしまう私は、すかさず手元のスマートフォンに『AI』と入力し、検索をしてみました。

その結果、私のスマートフォンには
【AI 仕事】
【AI 未来】
【AI ディープラーニング】
といった検索結果が主に表示されました。

迂闊にもシークレットモードを活用しなかったため、この結果すら私の普段の検索内容や好みをベースにAIによって出されたものであることに、今更ながら気づいてしまいました。
これは些細な事例ですが、間違いなくAIは私達の生活の中に自然に溶け込んできていることが分かります。

本日紹介する本は、㈱ジャパン・リンク代表取締役社長であり、ソフトバンク㈱のシニア・アドバイザーを務める松本 徹三さんによって書かれた『AIが神になる日』です。

近年は、あらゆる分野でAIというキーワードが出始めてきています。
私も普段はサラリーマンで生計を立てていますが、現在人間が担っている仕事の多くがAIに取って代わられる…という話も出始めています。

さすがに現役でいる間に自分の仕事の全てが取って代わられるとは思いませんが、これからを生きる人間にとってAIについて学んでおくことは決して無駄ではないでしょう。

本書の概要

村上憲郎(前Google日本法人代表取締役)
「今後AIについて何かを語るとき、この本が提起する諸論点を無視しては語れなくなると思う。」

夏野剛(慶應大学特別招聘教授)
「AIの真髄を理解したい人、正しく理解すべき人、これらすべての人にとって必読の書。」

高木友博(明治大学理工学部教授)
「ここまで広範な分野を深く理解し、縦横無尽かつ明瞭に語れる人を私は過去に見たことがない。」

コンピューター技術の発展型であるAIと、その究極の姿であるシンギュラリティーは、人類に何をもたらすか?
AIが次世代のAIを自ら作り出すことにより能力が加速度的に向上して、ついに「シンギュラリティー」が実現する時期が近づきつつある。これは、想像を絶するほどの凄まじい変革を人間社会にもたらすだろう。

産業革命は、人間の肉体的な限界を破って人間社会の在り方を変えた。コンピューターは、人間の頭脳の一部の機能を拡大して、第二の産業革命を起こしつつある。

しかし、AIの究極の姿であるシンギュラリティーは、人間の頭脳のほとんどすべての機能を複製、拡大して、まったく新しい世界を創り出す潜在力を秘めている。

本書は、こうした認識をベースに、著者の豊かな知見を通して、人間が行ってきた技術革新とは何か、人間とは何か、人間が信じてきた神(宗教)とは何かを考察し、今後人間がどのようにAIに向かい合うべきかを提示する。
(本書 表紙・帯文より引用)



シンギュラリティーとは?

AIを語る上で、ほぼセットで使われる言葉に『シンギュラリティー』というものがあります。
『シンギュラリティー』とは日本語に訳すと『技術的特異点』という意味ですが、これだけではいまいち良く分からないのが正直なところです。

本書の著者・松本さんは、読者に向けて『シンギュラリティー』を以下のとおり詳しく解説しています。

AIは次々に自力で改善していくので、AIが「より優れたAI」を自ら作り出し、そのAIがさらに「その次の世代のAI」を作り出していくという「加速度発展」が無限に続き、現在の我々にはまったく想像もできない世界が到来する可能性があります。
テクノロジカル・シンギュラリティーという言葉は、このような仮説を表現した言葉なのです。
(本文11ページより引用)

この解説によれば…『シンギュラリティー』とは、AIがその優れた能力を活用して更に優秀なAIを次々に作り、今の私達には想像することもできない社会がやってくることを指しています。

もちろん、専門的な用語を使うと更に複雑な説明になってしまいますが、AIについてこれから勉強していこうという方にとっては、『シンギュラリティー』をこの程度で理解していても問題は無さそうです。



シンギュラリティーがもたらすもの

とはいえ…具体的に『シンギュラリティー』が私達にどのような世界をもたらしてくれるのかは、やはり気になるところです。
著者の松本さんは、そのことについて以下のように説明しています。
AIは徹底的に合理化された生産体制を作るので、経済力は格段に強化されますし、自らは欲望も持たないで、あくまで愚直に理想を追求します。
こうなると、当初考えられていたような『共産主義の理念』が、もしかしたら、おおむね実現できることになるかもしれません。
(本文54ページより引用)

松本さんのこの説明は、ミスをしたり変な欲を持つ人間が政治や経済を担っている現在よりも、格段に暮らしやすい社会が来る…ということを指しています。

世間では様々な仕事が将来的にはAIに取って代わられると言われていますが、本書では医師や弁護士といった専門職や経営者がその一例として挙げられています。

過去の事例や判例を即座に検索して最適な答えを見つけることは恐らくAIの得意分野でしょうし、汚職をする心配も無いでしょうから、政治の分野でも活躍してくれる『神』となりそうですね。



AIを悪魔にしてはいけない

『神』のような存在になるAIに対し、我々人間はどうすれば良いのでしょうか?
『シンギュラリティー』によってAIが発展を続けていく中で、人間に残された分野は『哲学』と『芸術』のみになると本書では結論付けられています。

そして…最も重要なAIの取り扱い方については、松本さんは以下のとおり繰り返し述べています。

繰り返しますが、人類がやるべきことは、むしろ通常に考えられていることの真逆のことです。
早い時点から、AIを人間の手の届かないところに隔離し、人間よりはるかに賢明なはずのAIに、自分自身の将来を開拓させるべきだということです。
(本文194ページより引用)

本書の中でも繰り返し述べられていることから、これが松本さんの最も強いメッセージではないでしょうか。

これからAIと共に生きていくことになる私達は、AIを『悪魔』にしてはいけません。
ですが、それは決して『コントロール下に置く』ということではありません。
なぜなら、よほど人間の方が危険だから。

AIを人間の手の届かない所に置いて、AI自身に将来を開拓させ、私達は残された『哲学』や『芸術』の分野を中心にこれからの生き方を考えていく必要がありそうです。



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