TEDトーク(ジェレミー・ドノバン)

浅見家の本棚

TEDトーク/ジェレミー・ドノバン

みんなが苦手なプレゼンテーション

学校の授業で手を挙げ、先生の質問に回答したことのない人は恐らくいないでしょう。
入試や就職活動での面接もあると思います。
社会人になれば、この記事のタイトルの通りプレゼンテーションをしなければならないケースも多々あります。



このように現代社会は私達の意思など関係なく、『人前で話す』という行為から逃げることのできない世の中になっています。

ですから、自然と

俺は、プレゼンが大好きだ!!

という人には、滅多にお目にかかれません。
皆さん、人前で話すのは嫌いだと思います。

かくいう私も、人前で話すのは本当に苦手です。
仕方なく仕事関係で話す時は、棒読みになることも厭わず原稿を事前に作ってそのまま読んでいる有様です。

本書『TEDトーク』は、苦手とする人が多いプレゼンテーションをより魅力的に行うためのコツが記載されています。
今回は、その内容について要約していきたいと思います。

TEDって何?

その前に、まずは基本的なところから触れていきたいと思います。
本のタイトルにある『TED』って何でしょう?



正直なところ、私もこの本を読み始めるまでは『TED』が一体何なのか全く分かりませんでした。
本書では、冒頭第1章が『TEDの使命』と題され、以下のように説明がなされています。

TEDとは、テクノロジー、エンターテインメント、デザインの3つの分野から感動や衝撃をもたらすアイデアを紹介し、広めていくことを目的とした非営利組織(NPO)です。
(本文より引用)

つまり、TEDとは団体の名前だったのですね。
そして、そのTEDがどのような事業を行っているのか…についても説明がなされています。
同じく、引用します。

TEDにはさまざまな事業がありますが、なかでも広く知られているのが、会員だけが参加できるカンファレンスと、プレゼンテーション動画のインターネット無料配信です。
(本文より引用)

インターネット配信で上位人気となったプレゼンを『TEDトーク』と呼ぶのですが、それらが『スーパープレゼンテーション』と題され、NHKのEテレで関連番組が放送されたのをご覧になった方も多いかと思います。

つまりは、プレゼンテーションのプロ…ということですね。

本書『TEDトーク』の概要について

では、いよいよ本書『TEDトーク』の内容に触れていきましょう。
概要について、またまた本文から引用してまいります。

プレゼン本の新定番! 【基礎編】
ビジネストークに、就活の自己アピールに、様々な会合でのスピーチに、
人前で魅力的に話すためのノウハウを基礎から教えるベストセラー!
聴衆を魅了するスーパープレゼンテーションのテクニックをあなたに伝授する1冊。

ビル・ゲイツ、アル・ゴア、ボノ、ジェームス・キャメロン、シェリル・サンドバーグ──。世界の著名人が、最上級のプレゼンを披露してきたTEDカンファレンスは、世界を変えるイベントとして注目を集めている。
ネットを通じた配信で人気上位にランクインしたTEDトークを「内容構成」、「伝え方」など12の観点から徹底分析、その極意を明らかにする。

ここで示した概要の通り、この本は人前で魅力的に話すためのノウハウが詳細に記されています。
具体的には大きく分けて2部構成となっており、第Ⅰ部が内容やストーリー、構成といったスピーチの中身について。
そして第Ⅱ部が外的なもの、つまり伝え方だったりスライドのデザインがこれに該当します。



詳細は、以下の通り。
【第Ⅰ部】※第1章は『TEDの使命』として記載されています。
《第2章 トピックを選ぶ》
《第3章 キャッチフレーズを作る》
《第4章 スピーチを成功させる『紹介の秘訣』》
《第5章 スピーチの始め方》
《第6章 スピーチの本論とつなぎ》
《第7章 スピーチの締め方》
《第8章 ストーリーを語る》

【第Ⅱ部】
《第9章 スピーチを成功させる言葉の使い方》
《第10章 スピーチにユーモアを盛り込もう》
《第11章 身体を使ったコミュニケーション》
《第12章 印象的なビジュアル効果》
《第13章 恐怖心を克服しよう》

そして最後に、《第14章 本を置いて話し始めよう》が用意されています。
この第14章については、2~13章で学んだことを踏まえて実践してみようという内容の記述となっています。

発見よりも、気付き・再確認の多い一冊

正直なところ、私がこの本を読んでみて『なに!?そうだったのか!!』といったような新たな発見というものは実際にはありませんでした。



ただし…これが一番重要なのですが、その代わりに『頭では分かっているんだけど、なかなか実際には出来ていない』ということを、これでもかという位に気付かせてもらった気が致します。

例えば、第2章で語られているトピック(話す内容)の選定について。
この肝心のトピックにおいて、著者のジェレミー・ドノバン氏は『影響を与えるスピーチを実行するには、人間の持つ欲求を理解することが必要である』と述べています。

え、人間の持つ欲求って?
食欲とか睡眠欲とか、そういうの?

この答えも大きな括りでは間違いではないのですが、今回における欲求は、もう少しミクロな視点で捉える必要があります。

当たり前の話ですが、スピーチの聞き手に回るのは自分ではありません。
自分が話したいことを話すというスタンスを否定するわけではありませんが、この本で書かれているのは聞き手がいて初めて存在するプレゼンテーションについて。

つまり、聞き手である人間が本能的にどのような欲求を持っているのか…ということを踏まえて話す内容を決めなければいけないということです。

人間の持つ欲求は、以下の4つ。
①愛と帰属の欲求
②欲望と利己の欲求
③自己実現の欲求
④未来への希望の欲求

話し手である私達がどのような失敗をし、そこから何を学んで問題を解決したか…概ね、そのようなハッピーエンドに持っていけば、聞き手は最後に希望を胸にして話を聞き終えることが出来ます。

なるほど、つまりプレゼンが終わった後に聞いてくれている人にどうなってほしいかと考えなくちゃいけないってことね!

その他にも、本書では様々な気付きを与えてくれます。
ここでは下記に列挙することに留めますので、詳しく知りたい方は是非本書を購入してみることをお勧めします。

・プレゼン内で使うキャッチフレーズは短かく!(『Yes We Can』が好例)
・『何のために』を最初に、『何をするか』は最後に。
・聞き手が最も集中しているのは、最初の10~20秒。
・『なぜ?』『どうすれば?』という質問系が効果的。
・論理的な事実と感情に訴えかけるストーリーを組み合わせること。
・小学6年生にも理解できる言葉で。
・スライドは画像を主体に、シンプルに。話し手の原稿であってはならない。
・人は緊張すると早口になる。ゆっくり話すことを意識。

こうやって振り返ってみると、これまで自分が犯してきた数々の過ちを一つ一つ指摘されているようです。



冒頭で触れた通り、我々が生きる現代社会は何かと人前で話すこととその能力が求められます。
この本で学んだこと、改めて気付かされたことを今後の仕事にも活かしたいものです。

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