AIというキーワードを聞くと、皆さんは何を連想するでしょうか?
何か困ったことがあるとグーグルに頼ってしまう私は、すかさずスマートフォンで検索をしてみました。
その結果…私のスマートフォンには
【AI 仕事】
【AI 未来】
【AI ディープラーニング】
といった検索結果が上位にされました。
迂闊にもシークレットモードを活用しなかったため、この結果すら、私の普段の検索内容などをベースにAIによってはじき出されたものであることに、今更ながら気づいてしまいました。
これは些細な事例ですが、間違いなくAIは私達の生活の中に溶け込んできていることが分かります。
本日紹介するのは、㈱ジャパン・リンク代表取締役社長であり、ソフトバンク㈱のシニア・アドバイザーを務める松本 徹三さんによって書かれた『AIが神になる日』という一冊です。
近年は、あらゆる分野でAIというキーワードが出始めてきています。
私も普段はサラリーマンとして生計を立てていますが、現在人間が担っている仕事の多くがAIに取って代わられる…という話も出始めています。
さすがに現役でいる間に仕事の全てが取って代わられるとは思いませんが、これからを生きる人間にとってAIについて学んでおくことは決して無駄ではないでしょう。
【概要・目次】『AIが神になる日』
『AIが神になる日』が発売されたのは、2017年7月。
AIが私達人類の知能を超える、閾値(しきいち)のような位置づけのことを専門用語で”特異点”と言いますが、本書を始めとする類書ではその”特異点”を『シンギュラリティ』と呼び、用いられています。
このような用語が飛び交うと、”読み進めるのが難しい”と思われる方も多いと思いますが、筆者の松本さんは私達に向けて分かりやすく解説してくれています。
以下には本書の概要と目次を載せてみましたので、興味を持った方は手に取ってみてください。
概要(Amazon紹介ページより引用)
村上憲郎、夏野剛、高木友博 絶賛。
村上憲郎(前Google日本法人代表取締役)
「今後AIについて何かを語るとき、この本が提起する諸論点を無視しては語れなくなると思う。」
夏野剛(慶應大学特別招聘教授)
「AIの真髄を理解したい人、正しく理解すべき人、これらすべての人にとって必読の書。」
高木友博(明治大学理工学部教授)
「ここまで広範な分野を深く理解し、縦横無尽かつ明瞭に語れる人を私は過去に見たことがない。」
コンピューター技術の発展型であるAIと、その究極の姿であるシンギュラリティーは、人類に何をもたらすか?
AIが次世代のAIを自ら作り出すことにより能力が加速度的に向上して、ついに「シンギュラリティー」が実現する時期が近づきつつある。これは、想像を絶するほどの凄まじい変革を人間社会にもたらすだろう。
産業革命は、人間の肉体的な限界を破って人間社会の在り方を変えた。コンピューターは、人間の頭脳の一部の機能を拡大して、第二の産業革命を起こしつつある。しかし、AIの究極の姿であるシンギュラリティーは、人間の頭脳のほとんどすべての機能を複製、拡大して、まったく新しい世界を創り出す潜在力を秘めている。
本書は、こうした認識をベースに、著者の豊かな知見を通して、人間が行ってきた技術革新とは何か、人間とは何か、人間が信じてきた神(宗教)とは何かを考察し、今後人間がどのようにAIに向かい合うべきかを提示する。
『AIが神になる日』 目次
第一章 シンギュラリティーに向かうAI
第二章 人間と『神』
第三章 すべての『人間的なもの』
第四章 AIと向かい合う哲学
【読後の感想】『AIが神になる日』
”AI”を語る上で、ほぼセットで使われる言葉に”シンギュラリティー”というものがあります。
冒頭でも少し触れましたが、”シンギュラリティー”とは日本語に訳すと『技術的特異点』という意味。
ですが、これだけではいまいち良く分からないのが正直なところです。
本書の著者・松本さんは、私達に向けて”シンギュラリティー”を以下のとおり詳しく解説してくれています。
テクノロジカル・シンギュラリティーという言葉は、このような仮説を表現した言葉なのです。
(本文11ページより引用)
松本さんによれば…”シンギュラリティー”によって、AIがその優れた能力を活用して更に優秀なAIを作り出し、現在では想像することもできない社会がやってくる…とのこと。
本書のタイトルにもあるように、この”シンギュラリティー”によって、AIは文字どおり”神”になる可能性を秘めています。
今回のブログでは、”シンギュラリティー”に焦点を絞って読後の感想を述べていきたいと思います。
若干のネタバレを含んでおりますので、ご注意ください。
シンギュラリティーがもたらすもの
著者の松本さんは本書『AIが神になる日』で、以下のように説明しています。
こうなると、当初考えられていたような『共産主義の理念』が、もしかしたら、おおむね実現できることになるかもしれません。
(本文54ページより引用)
この松本さんの説明は、欲を持つ人間が政治や経済を担っている現在よりも、格段に暮らしやすい社会が来る…ということを指しています。
世間では様々な仕事が将来的にはAIに取って代わられると言われていますが、本書では医師や弁護士といった専門職や経営者がその一例として挙げられています。
過去の事例や判例を検索し、則罪に最適な答えを見つけることは正しくAIの得意分野。
人間のように汚職をする心配も無いでしょうから、政治の分野でも活躍してくれる『神』のような存在になってくれそうですね。
AIを悪魔にしてはいけない
『神』のような存在になる可能性を持つAIに対し、私達はどう接すれば良いのでしょうか?
『シンギュラリティー』によってAIが発展を続けていく中で、人間に残された分野は『哲学』と『芸術』のみになると本書では結論付けられています。
そして…最も重要なAIの取り扱い方については、松本さんは以下のとおり述べています。
早い時点から、AIを人間の手の届かないところに隔離し、人間よりはるかに賢明なはずのAIに、自分自身の将来を開拓させるべきだということです。
(本文194ページより引用)
松本さん自身が”繰り返し”と強調しながら述べていることもあり、これこそが筆者からの最も強いメッセージではないでしょうか。
これから増々デジタル化が進んで行く中で、私達は決してAIを悪魔にしてはいけません。
ですが、それは決して”AIを人間のコントロール下に置く”ということではありません。
なぜならば、よほど人間の方が危険な存在だからです。
AIを人間の手の届かない所に置いて、AI自身に将来を開拓させ、私達は残された『哲学』や『芸術』の分野を中心にこれからの生き方を考えていく必要がありそうです。
まとめ
最後に今回の記事をまとめたいと思います。
私達人間は、自分で思っているほど優秀でもなければ立派な存在ではありません。
そのことは戦争など何度も同じ過ちを繰り返していることからも、明らかです。
そんな有様の人間に対し、むしろAIは無機質で中立で公平な存在。
使い方次第で悪魔になる可能性も存在しますが、それはきっと人間が必要以上に関与した場合でしょう。
優秀なAIに任せるべきところは任せ、私達は人間にしかできない分野で生きていくしかありません。
きっとAIは自分で素晴らしい道筋を作り出し、まさしく神のような存在になるでしょう。
その未来は、それほど遠くないはずです。