君は君の道をゆけ(齋藤 孝)

浅見家の本棚

君は君の道をゆけ/齋藤 孝

齋藤 孝 先生の新しい本を購入したので、また紹介させて下さい。
今回要約する『君は君の道をゆけ』という本は、哲学者・ニーチェをテーマにした内容になっています。

ニーチェといえば、誰もがその名前は聞いたことのある位にメジャーな存在。
しかし…実際にニーチェの書いた本を読んだことのある方は、そこまで多くは無いはず。

『君は君の道をゆけ』は、そんなニーチェの残した有名な言葉に対し、我らが齋藤先生が1つ1つ分かりやすく解説をしてくれています。

本書構成は特に章立てはされておらず、解説されている項目は計66にも上ります。
そのため、今回は私が個人的に感銘を受けた10のフレーズについて要約をしていきたいと思います。



不向きなことを、回避する勇気を持て

『あなたがたの力以上に有徳であろうとするな。可能性を超えたことをおのれに求めるな。』
【ツァラトゥストラ】(中公文庫 652ページ)より引用

自分にとって、向いているものと不向きなものを見極める。
何でも完璧にやろうとすると、どんなに強い人でも追い込まれてしまう。
スマートに、不向きなことは回避してしまおう。

ときには、自分の孤独の世界に入ること

のがれよ、わたしの友よ、君の孤独のなかへ。
【ツァラトゥストラ】(中公文庫 107ページ)より引用

一昔前と比べ、特に人間関係において現代は非常に面倒な時代。
読書や音楽、趣味の時間など自分の孤独の世界を作り、気持ちを落ち着けることも時には必要。

愛されていると、自惚れることなかれ

愛されたいという要求は、自惚れの最たるものである。
【人間的、あまりに人間的Ⅰ】(ちくま学芸文庫 435ページ)より引用

『愛されたい』と普段から思っている人は、傷つきやすい。
人に愛されなくても、SNSで『いいね』をもらえなくても焦らなくていい。
自分で自分を愛すればいいだけ。



君の過去の行動を、否定することなかれ

おのれの行動に対して卑怯なまねをしないこと!あとからそれを見捨てたりしないこと!
良心の呵責などはだらしないことだ。
【ニーチェ全集第十一巻<第Ⅱ期>】(白水社 339ページ)より引用

過去の自分の行動を否定したり、公開したりしてはいけない。
とにかく、大事なことは次に向かうこと。
後悔したところで、仕方ない。
『それがあたからこそ、今がある』と割り切れば、現在の自分を肯定することができる。

周囲を気にせず、自分の運命の軌道をゆけ

お前の運命の軌道をゆけ、星よ、闇がお前に何のかかわりがある?
【悦ばしき知識】(ちくま学芸文庫 51ページ)より引用

必要以上に周囲の人に同情したり合わせたりせず、自分自身の道を進むことの大切さをニーチェは説いている。

不必要な情報を、しっかりと遮断せよ

われわれについて語られることを毎日聞いたり、それどころか、われわれについて考えられることを考え出したりすると、どんなに強い人でも破滅してしまう。
【曙光】(ちくま学芸文庫 421ページ)より引用

現在社会は、インターネットを通じて様々な情報が日々流れ込んできている。
まずは”心の戸締り”をして不必要な情報を遮断することが、自分の身を守ることに繋がる。



君は、自分の機嫌を環境のせいにするのか

ここに雷雲が垂れこめている。しかしそれが、われわれ自由な、軽薄な、陽気な精神が楽しい一日を過ごしてならない理由になるだろうか?
【ニーチェ全集第十巻<第Ⅱ期>】(白水社 268ページ)より引用

軽やかな気持ちを持てば、周囲の空気も良い方向に変わる。
いかなる環境においても、周りの影響を受けずに軽やかな気持ちでいること。

人と比べて恥じたりせず、本当の自由になれ

体得された自由の印は何か?もはや自分自身に恥じないこと。
【悦ばしき知識】(ちくま学芸文庫 285ページ)より引用

他人の評価を超越し、自分自身が何かを追い求めることで初めて自由になれる。
ニーチェ流は、『自分を恥じない』こと。

物事を複雑でなく、シンプルに捉えよ

自己をもっと複雑なものにしたいか、それとも、もっと単純にしたいか。
もっと幸福になりたいか、それとも、幸福や不幸にもっと無関心になりたいか。
(中略)
もっと利口にたちまわりたいか、それとも無鉄砲にやりたいか。
(中略)
もっと尊敬されたいと思うか、それとももっと恐れられたいか?
あるいはもっと軽蔑されたいと思うか!
【ニーチェ全集第十一巻<第Ⅱ期>】(白水社 334ページ)より引用

F=ma、E=mc2などの法則は、極めてシンプルな美しい形。
人生もそれと同じで、『やりたいことをやる』というシンプルの積み重ねで良い。

君よ、忘れろ。今を生きよ

あなたの重荷を深みに投げよ!
人間よ、忘れることだ!
忘れることだ!忘却の術は神的だ!
飛ぶことを願うなら高みに住むことを願うなら、あなたの重荷を海に投げることだ!
ここに海がある。あなた自身を海に投げよ!
忘れる術こそ神的だ!
【ニーチェ全集第十二巻<第Ⅱ期>】(白水社 64ページ)より引用

忘れることも大事。
『今を生きる』、『祝祭的に生きる』ことで、重荷に感じられるものは捨てる(忘れる)ことができる。

以上が、齋藤先生によるニーチェの解説本『君は君の道をゆけ』でした。

小難しいイメージのあったニーチェですが、よくよく目を通してみると現代の自己啓発本にも書かれているようなポジティブ(時には刺激的)な内容がちりばめられていることに気付きます。

初めての方もそうでない方も、是非この機会にニーチェの残した刺激的な言葉を目にして自分なりの道を突き進む術を掴みましょう。

とはいえ…悩みは、その人の性格を映すともいいます。
今回私が取り上げた計10個の項目を見て頂くと、私が普段どんなことで頭を悩ませているのかも分かってしまいますね…。



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