魂の読書(清水 克衛)

浅見家の本棚

魂の読書/清水 克衛

皆さんは『読書のすすめ』という本屋さんをご存知ですか?
”本のソムリエ”として各メディアでも数多く取り上げられた、清水克衛さんが営んでいるお店ですね。




『読書のすすめ』は他の一般的な本屋と違って、売れ筋の本ばかりを置いていないのが特徴。
清水さん自身が厳選した良書が店内には並んでおり、本書の中においても、ソムリエがおススメする本が何冊も紹介されています。

いつかきっと、『読書のすすめ』に行ってみたい!

読書って楽しい!

タメになる!

我々をそんな思いにさせる熱い一冊を、今回は要約して行きたいと思います。

序章 『答え』を探すためではなく『問い』を見つけるために読書は必要なのです

『〇〇の成功法則』というエゴ丸出しの本が数多く出版されているが、『まず、人を喜ばせてみよう』ということに徹しなければ、物事はうまくいかない。
今の世の中、誰かが作った価値観を何の疑いも無く信じ込んでいる人がとても多い。
『みんながやりたいことを、あえてしない』
という信念を、とりあえず持ってみる。
人間は、無意識の内に常識にとらわれて生きている。
常識とは、全体の95%を占める大多数の人々の考え方のこと。
私達は他人に操られたり洗脳されたりしない、『5%の力』を身に付けなければならない。
ググって知ったことのほとんどは、他人の言葉。
読書を通して『他人の言葉』を『自分のもの』にする力を付け、『根拠』を自分で作っていくことが必要。
読書離れと言われて久しいが、その本質的な原因はゲームやスマホ、テレビではない。
日本人全体が、『問い』という疑問を持てなくなっているからである。
『答え』をすぐに求ることも大事かもしれないが、読書を通じて『問い』を見つける…つまり自分で物事を考えることで、5%という一握りの人間を目指すことができる。

第一章 なぜ、いくら自己啓発書を呼んでも成長しないのか?




本当の啓発本は、エゴに満ちたものではない。
『元気・やる気・本気』が充満し、行動に結び付く本のことである。
最強の自己啓発書は、『学問のすすめ』。
『それ、逆に考えてみれば?』
二元論ではなく、そろそろ一元論に移行すべき時代になってきている。
一元論とは『全ては一つ、全てを活かす』という考え方。
『良い』か『悪い』の二元論の考え方は、辞めるべき。
今の時代、枝葉の知恵を得ても役には立たない。
枝葉はいつ枯れるのか、折れるのか分からない時代に私達は生きている。
根源的な根っここそを伸ばすべきだ。
エゴに満ちている現代の啓発本をいくら数多く読んでも、人間の本質的な成長は見込めない。
二元論の極端な見方は辞めて、『全ては一つ』『全てを活かす』一元論の考え方を身に付けよう。

第二章 『そもそも論』で考えよう

『そもそも、それはなぜ?』と根源を知っておかないと、世間に流されたり、自分が今どこに流れているのかが分からなくなってしまう。
心が強いとか弱いとかは、単なるコインの裏・表の関係に過ぎない。
心の弱さの裏側には、必ず強さが存在する。
悩み多き現代人と言われる昨今だが、ただ心の置き所を間違っているだけかもしれない。
私達は、常識の奴隷になっている。
日本人は元々、禅の思考方法で古くから生きてきた。
一元論の考えを基に日々生きてきた日本文化の『そもそも』を身に付ける必要がある。




第三章 読書は『タテ』にすべし!

これから日本人がお手本として学ぶのは、かつての日本人。
それも武士道を肚に持つ日本人。
近年の日本は効率ばかりを追い求めて、国としての成長を失ってしまった。
現在は、アメリカの優良企業が非効率(終身雇用、年功序列、家族主義経営)を取り入れている。
日本人は、もっと非効率を求めるべき。
非効率は悪者のように捉えられがちだが、その中には大切なものも含まれている。
見た目や価格に表れない、『手間』を感じる目を持たねばならない。
消費者が愚になれば、生産者も愚になる。
人間の真理を学べる読書=『縦糸の読書』。
つまり、時代が変わっても残り続ける普遍的なもの。
垂直的な生き方を身に付けると、仕事や人間関係のトラブルに対する解決策が頭から湧き出してくる。
読書には『タテ』と『ヨコ』があり、前者は時代が変わっても残り続ける普遍的なものを指す。
『縦糸の読書』で自分の根っこを鍛え、時代が変わっても軸がブレない人間を目指したい。

第四章 『西郷ライン』で人生の軸をつくる

幕末志士のバイブル=『言志四録』。
吉田松陰も西郷隆盛も『言志四録』を熟読していた。
西郷ラインとは、
【陽明学→言志四録→西郷隆盛→頭山満→中村天風→安岡正篤→伊與田 覺】の流れ。
西郷ラインで、流行や雑多な情報に振り回されない生き方を学ばなければならない。
人は人生の過程において心の下を卒業し、心の中、そして大へと成長していく。
そのきっかけが『人に対して畏敬と尊敬の念を持つ』ということ。
一流の人間になるため、伝記や良書を読みながら心を育てていかなければならない。
これは、『5%の人』になることにも繋がる。

第五章 私はなぜ読書をススメるのか




『何をしたら儲かるか』ではなく、『何をしたら喜んでもらえるか』を考えている。
『読書のすすめ』には取次会社の配本ではなく、大切な人に読んでもらいたい本だけを置いてある。
今の私達は、消費することばかり、自分のことばかりを考えている。
生産という産みの苦しみを避けて、楽な、薄っぺらな、与えられた、楽しいことをもとめがち。
それも、無自覚で。
読書は日本人の人財を輩出する一番のツール。
本に携わる者は自分さえ良ければという考え方ではいけない。
『本』を提供する側が、『本』を愛していないケースが多い。
本を提供することにおいて大切なことは、『いかに喜んでもらうか』ということ。
『本』を愛し、顧客(読者)を大切にする。

全体を通して、熱い一冊でした。
あえて言葉を選ばずに言えば、『暑苦しい』ほどの読書熱に満たされた内容。

読書を通して『問い』を持つこと、人間としての本質的な成長を図ること、良い意味での非効率さ、垂直的な生き方を身に付けることができる…ということを、本書を通して学ぶことができました。

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