『夜を乗り越える』浅見家の本棚 #31

『夜を乗り越える』/又吉 直樹

『面白い本』とは?

『面白い本』とは何か?

『共感』とは何か?

我々のようなゆとり世代への教育方針が定められて以降、個性が尊重されるようになった現代において、これらの価値観は人それぞれになってしまっていますが、今や芥川賞作家となってしまわれた私が敬愛する又吉先生曰く、『面白い本=共感できる』ということのようであります。

人間の気持ち、感情…とでも申しましょうか、我々凡人にはそういった目に見えない見かけ上は曖昧なものを、上手く言葉で表現することが出来ません。出来ないからこそ、プロの作家やライターさんが書いた文章に対して対価を払い、それらを読んで楽しんでいるのでありますが、又吉先生に『面白い本』という言葉について、定義付けがなされましたので、これからの自分の人生において引用させて頂きたいと思います。

例えば、私の場合普段全く読書をしない友人や知人から、

『読書のどんな所が面白いの?何かおすすめの本があったら教えてよ。』

とよく質問されるのですが、それに対するこれまでの私の回答は、

『どこが面白いかは上手く説明できないけど、面白い本っていうのは人それぞれ違うわけだから分からん!あとで文句を言われるのはまっぴらだからな!』

という、ひどくおざなりなものでした。これでは周囲に本好きを増やすことには繋がりません。次回からは、もっと親切に『面白い本とはね、共感できる本なのだよ』と、優しく答えてあげようと思います。反省。




つまり、私はこの『夜を乗り越える』が好き

『面白い本=共感できる』

この表現に、又吉先生の言葉を借りるならば、それこそ『共感』をしてしまった私。

『共感』。そして『納得』。つまり、私にとってこの本は『面白い』、好きな本なわけです。

また、いわゆる読書好きにとっての名言みたいなものがちりばめられているのも、この本の大きな特徴ではないでしょうか。『そうそう、こういうことを俺は言いたかったんだよ!』的なやつですね。

中村文則さん熱の高まり

作中で、又吉先生が押しておられた中村文則さんの作品ですが、同氏の作品として『掏摸』という作品を始めて読み終えました。感想はまた別の機会に申し上げたいと考えておりますが、ぼちぼち私の中での中村文則さん熱が発生しつつあることだけはここでご報告させて頂きます。

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