LIFE SHIFT(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット)

浅見家の本棚
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LIFE SHIFT/リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット

今年6月、いわゆる『老後2000万円問題』がクローズアップされました。
そのきっかけは、金融庁の『金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書』でした。

そんな金融庁に対し、一般人は勿論、各方面から様々な批判が噴出したわけですが、その非難は誤りであることが本書『LIFE SHIFT』を読めば分かります。

冗談などではなく…人生100年時代は、すぐそこまで来ています。
生産性皆無の批判・非難をするのではなく、この本を読んで、これからの生き方について、今から準備を始めましょう。



今回は、そんな実り多き本にして、2016年に大ヒットした『LIFE SHIFT』を要約していきます。

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序章 100年ライフ

長寿化の進行に伴い、新たな社会規範とロールモデルが登場。
長寿を恩恵にするには、マルチステージの実践が必要。
個人や企業、社会が時間の組み立て方について考えなければならない。
大半の人は、3ステージ人生(教育→仕事→引退)を送っているが、今後はマルチステージ化が進む。
マルチステージ人生では、投資(有形・無形を問わず)が必要不可欠。
寿命が長くなることで増える余暇時間は、投資へと使うべき。
娯楽(レクシエーション)ではなく、自分の再創造(リ・クリエーション)である。

第1章 長い生涯



文字通り、『100年ライフ』が当然の時代となってきている。
2007年に産まれた日本の子供の約半数は、107歳まで生きると言われている。
途上国でも長寿のペースは伸びている。
単に寿命が延びるだけではなく、不健康期間も短縮。
健康な100年ライフの想定と共に、それ以上長く生きる可能性が高くなっていると考えておいた方が賢明である。

第2章 過去の資金計画

これからの資金計画を考える上での4つのポイント
①老後の生活資金
②長期の投資利益率
③所得上昇のペース
④何歳で引退したいのか?
長寿化を考える上で、3ステージ人生を機能させるには長く働き続けるしかなが、これでは金銭以外の資産に悪影響を及ぼしかねない。
本書の目的は、3ステージ人生前提から脱却し、長寿を恩恵とすること。

第3章 雇用の未来

産業の新陳代謝

人口構成の変化(高齢者需要)等により衰退する産業も出てくるが、富の所在が移動し、新たな産業やテクノロジーが台頭するだろう。
このような興亡を、歴史は繰り返してきた。

新しいエコシステムの登場

大企業の周囲に多くの中小・新興企業が集まり、エコシステムが形成される。
それらが人々の働く場所を変え、雇用機会を多様化させ、仕事と私生活の境界線を曖昧にさせる。

雇用が『空洞化』する

少しずつ中スキル(定型的業務)職が減少しており、雇用の空洞化が発生している。
今後は更に空洞化が進み、高スキルの労働者もテクノロジーに代替されるが、新たな雇用を生む可能性も秘めている。



第4章 見えない資産

長く生産的な人生を築くためには、無形資産(目に見えない資産)も重要。
金銭的資産の形成を助ける意味で、有形・無形の両方の充実やバランスが求められる。

生産性資産(仕事での成功に必要な要素)

①スキル
②仲間
③評判(ブランド、知財含む)

活力資産(肉体的・精神的な健康と幸福)

①健康(脳は鍛えられる)
②バランスの取れた生活(ストレスの管理)
③自己再生の友人関係

変身資産(新たなステージへと移行する意思と能力)

①自分についての知識
②多様性に富んだネットワーク
③新しい経験に対して開かれた姿勢

第5章 新しいシナリオ

未来に向けて適切に行動するには、『将来自分がどのような人間になるのか』についてあらかじめ考えておくことが有効な手立てとなる。
本章では、大きく分けて4つの生き方(シナリオ)について解説されている。

3.0シナリオ

これまで通りの3ステージ人生を送る。
貯蓄と無形資産への投資が不十分という問題に、やがて直面することは必至。

3.5シナリオ

引退後、新たな環境で仕事を続ける。
蓄えの減少を防ぎ、活力資産を育むことができるが、まだ投資不足は否めない。

4.0シナリオ(現在20代~30代の最低ライン)

3.5シナリオよりも更に無形資産に投資し、多くの変化と変身を経験。
自身を再創造(リ・クリエーション)させる上でも、これから重要になってくるのは変身資産。

5.0シナリオ

生産性資産と活力資産に再投資(変身することを前提とした計画)。
アイデンティティの確立で、ステージ移行の際に発生するリスクは小さくなる。

第6章 新しいステージ

思春期の長期化により、今の20代や30代は責任の重荷を感じていない。
平均寿命の上昇により、あらゆる年代の人々が若々しくなっている。
今後は様々な年齢層の交流機会が増え、世代毎の固定観念が無くなるだろう。
新たに出現しつつある以下の3つのステージは、経験から学習する機会を生む。
エネルギーの再充填、自己の再創造(リ・クリエーション)を経て移行することとなるが、有形(金銭)資産の減少は避けられない。

エクスプローラー(探検者)

身軽に動き続けることで固定観念に新たな光を当て、変身資産の形成が期待できる。
しかし…よく考えて行動しなければ、今持っている資産を劣化させるリスクもある。

インディペンデント・プロデューサー(個人事業主)

自分の職を生み出す人。
知識を身に付け、試行錯誤しながら生産活動に携わるが、金銭のやりくりが難しい。
シェアリングエコノミーが、その問題を解決してくれるかもしれない。

ポートフォリオ・ワーカー(副業者)

異なる種類の仕事を同時に行うステージ。
現在の職に就きながら実験を試みることができるが、非効率からは逃げられない。

第7章 新しいお金の考え方



適切な資金計画を立てるには、自己効力感と自己主体感が求められる。
・自己効力感…自分ならできる
・自己主体感…自ら取り組む
老後の生活資金を考えるにあたり、現在の休日の過ごし方は参考にならない。
医療や介護を考える必要もあるし、引退後に消費レベルをいきなり落とすのも難しい。

お金に関する自己効力感(金融リテラシー)

・投資におけるポートフォリオを管理する。
・手数料など、コストにも注意を払う。

お金に関する自己主体感

人間は貯蓄などの善良な行動を先延ばしにし、セルフコントロールに苦労する生き物。
アイデンティティを確立し、未来と現在の自分を務ズビ付けて考える必要がある。

第8章 新しい時間の使い方

過去100年間は、娯楽に対する消費を中心都市する産業が台頭。
しかし、今後は個人レベルでの自己改善への投資活動に注力した産業が発展するかもしれない。
長寿化が進めば、時間の再構成が始まる。
産業革命の産物である現在の時間構成の是非が問われ始めており、こうした風潮は今後も増々強まっていくことが予想される。

第9章 未来の人間関係

家庭

マルチステージ人生では夫婦共働きなど、稼ぎ手が2人いることが強みとなる。
違いの関係が機能すれば、無形資産の再創造がしやすくなるが、現代の夫婦関係は双方に恩恵があるか否かで、緊張や不和が生じやすい傾向にある(親密さの変容)。

子ども

今後も女性は出産に関して制約を受けざるを得ず、経済面から子どもを作ることに新調になっていくだろう。
同時に、男性については子育てに関して働き方が変わっていく。

仕事と家庭

働く女性は増えているが、その割合は国によって差がある。
男女の労働参加率の格差が大きいのは、韓国、イタリア、日本であり、これらの国では、女性が100年ライフを設計する際に選択肢が乏しいままになってしまう。
それでも労働参加率の格差は少しずつ縮小しているが、賃金の格差は残る。
高い地位に就いている女性が少なく、この格差か完全に無くなるには、あと70年は必要だと言われている。

離婚

高齢者の離婚率が上昇中。
人生が長くなっているため、離婚しても立ち直ることができると考える人が増えており、その合意内容は一層複雑化すると予想されている。

家族

これからは、年齢とステージが一致しなくなる。
年齢を超えた人間関係が築かれることで互いに親しみを抱き、世代間のふれあいを続けることが可能となる。

友人

寿命が延びた分だけ子育てに費やされない期間が長くなり、友人関係も重要となる。
これからは世代を超えた友人関係により、若者と高齢者の社会的分断が解消され、固定観念や偏見が無くなる。



終章 変革への課題

100年ライフでは、人生の設計と時間の使い方を根本から見直すことで、長寿を恩恵に換えることができる。
重要なのは、変化を予期して行動すること。

教育機関の課題

教育に対して、人々は今以上に時間を費やすこととなる。
保守的産業の教育は大きな変化を迫られるが、デジタルテクノロジーは100年ライフで学習するための頼もしい手段となる。

企業の課題

100年ライフを迎える上で、企業に求められるのは無形資産・マルチステージへの理解やステージ移行の支援などだが、実際にはほとんどは準備が出来ていない。
やがては、これらの要求に耳を傾けなければならない時代が到来するだろう

政府の課題

マルチステージの出現は、今後の生き方に関する選択の機会を生む。
それを受け、企業だけではなく政府も3ステージ制からの脱却を前提とした方針へと舵を切らなければならない。

『老後2000万円問題』然り…
長寿化が絡む議論では所得や貯蓄ばかりが注目されていますが、それと同じ位に重要なのは『無形資産をどのように築いていくか』です。



しかし…この直面している課題に対して、人々の理解は悲しい位に不十分の状態です。
この本を読み終えた今だからこそ言えますが、金融庁から当初発表されたコメントには誤りなどは無かったと思います。

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