『福沢諭吉と福翁自伝』/鹿野 政直(編著)
福沢諭吉といえば?
一万円札に描かれていることで有名な福沢諭吉。そんな尊きお札の象徴である偉人の自伝が、本書『福翁自伝』であります。皆さんはお読みになったことがあるでしょうか?
かくいう私もそうだったのですが、やはり福沢諭吉というと真っ先に浮かぶのが代表的作品『学問のすすめ』だったり、慶應義塾の創始者といった一面ではないかと思います。
近代文学らしからぬ、読みやすさ!
しかしながら、我々が知らないだけであの齋藤孝先生も自身の著作の中で、今時の社会人や大学生が読むべき本として『学問のすすめ』と共に、この『福翁自伝』を薦めておりますし、聞いたところによりますと今日でも慶應義塾大学に入学する新入生には毎年配布されているのだとか。
我が国の近代文学(明治から昭和戦前期に至るまで)の作品は、えてして読みにくい文体が災いし、ついつい若い年代の人達からは敬遠されがちな面があるのですが、この本に限っては非常に読みやすい形(自伝というだけであって、福沢諭吉の語り口調の形式)に仕上げられておりますので、そういった心配はないかと思われます。先程触れた齋藤孝先生によりますと、福翁自伝自体が元々読みやすい文体だったようですがね。
あらゆる障害に打ち勝ち、自分の信じた道を進む福沢諭吉
さてさてようやく本題に入ります。どうも、前置きが長くていけません。
福沢諭吉は、幕末当時の人間には珍しく臨機応援といいましょうか、開明的といいましょうか、武士社会という古くからの固定観念に囚われない一面があり、それが自身ののちの立身へと繋がっていきます。
新しいことにチャレンジをしようとする人間の邪魔をするのは、いつの時代も頭がカチコチに固まった古臭い考えに固執している者ばかり。実際、福沢諭吉も理不尽な身分社会であったり、故郷の中津藩を中心とした武家社会のしがらみであったり、ある種狂騒的な攘夷派(単なる天誅好き)等から、様々な横やりや邪魔が入るものの、それらに挫けずに自ら信じた道を突き進んでいきます。
そんな苦い経験を積んだからこそ、作中で語られる有名な『門閥制度は親のかたきであります』といった名言が生まれたのだと私なりに解釈を致しました(間違っていたらすみません)。
福沢諭吉がいなければ、慶應義塾は無かったのだという事も忘れてはなりませんね。もっと大事に一万円を使わなければ!!(最近はカード決済ばかりですが)
コメント