嫌われる勇気(岸見 一郎・古賀 史健)

浅見家の本棚

嫌われる勇気/岸見 一郎・古賀 史健

今回取り上げる本は、岸見 一郎さんと古賀 史健さんによって書かれた『嫌われる勇気』。

【自己啓発の源流 『アドラー』の教え】という副題が無ければ、書店によく並んでいる中間管理職やリーダー職向けの本かなと勘違いしてしまいそうなタイトルですが、発行部数が200万部を超えた大ベストセラー本です。



取り扱っている内容は『心理学』ですが、それほど身構える必要はありません。

アルフレッド・アドラーによって提唱された【アドラー心理学】を、『哲人』・『青年』という名も無き登場人物の会話形式を通して解説しているので、私のような門外漢でも予想よりもスムーズに読み進めることができました。

第一夜 トラウマを否定せよ

【アドラー心理学】は、『原因』ではなく『目的』を考える。
引きこもりの人の場合…初めに『外に出ない』という目的があり、それを達成するための手段として不安や恐怖をこしらえている(目的論)。
そのため…【アドラー心理学】では、トラウマを否定する。
大切なのは経験(トラウマ)によって何かが決めるのではなく、自らの定めた目的に向かって動くこと。
人の持つ気質や性格(ライフスタイル)は、自ら選び取るもの。
今が不幸なのは、その生き方を選んでいるから(概ね10歳前後で確立)。
自分で選んだものだから、再び選び直すことも十分可能。
『変わりたい』と思っているなら、今のライフスタイルをやめること。
あなたが不幸なのは、『幸せになる勇気』が足りていないから。
自分の人生を決めるのは、『いま、ここ』に生きるあなた自身。

第二夜 すべての悩みは対人関係



我々は無力な存在として生まれ、そこから脱したいと願う(優越性の追求)。
そこに到達できていない自分に対し、『劣等感』を抱いてしまう。
『劣等感』は主観的な思い込みに過ぎない。
人は『劣等感』を言い訳にしてしまう(劣等感コンプレックス)。
『学歴が低いから成功できない』のではなく、ただ単に成功に向けて一歩前へと踏み出したくないだけ。
他者に面罵された時は、相手から『権力争い』を挑まれているということ。
『権力争い』には決して乗ってはならない。
争いを避けることは負けではなく、勝負に拘ると正しい選択が困難となる。
対人関係は『仕事のタスク』・『交友のタスク』・『愛のタスク』に分別。
その総称を『人生のタスク』と呼び、アドラーは一歩前へと踏み出す『勇気づけ』により、それらを乗り越えよと語っている。

第三夜 他者の課題を切り捨てる

アドラーが否定する『承認欲求』の先にあるのは、誤ったライフスタイル。
私達は、他者の期待を満たすために生きているのではない。
『これは誰の課題か?』と考え、自分のものと他者のものとを分けて考える。
そして他者の課題には踏み込まない。
この『課題の分離』は、対人関係の入口である。
『自由』とは、他者から嫌われること。
つまり…嫌われることを恐れていては、自由になれない。
『嫌われる勇気』を手に入れた時、対人関係は一気に軽くなる。
対人関係のカードは、常に自分が握っている。
自分を変えることができるのは自分だけであり、他者を操作することはできない。
まずは、自分。

第四夜 世界の中心はどこにあるか

対人関係のゴールは『共同体感覚』。
『共同体感覚』とは『他者を仲間とみなし、そこに自分の居場所があると感じられること』。
幾つもの共同体に所属し、他者貢献が出来ていることに気付くべき。
正しい道筋は、『課題の分離』→『共同体感覚』。
その上で…他者を褒めたり叱ったりする『縦の関係』ではなく、対等である『横の関係』を築くことで人は劣等感を感じにくくなる。
感謝の言葉によって、人は貢献出来ていると感じる。
『人は、自分には価値があると思えた時にだけ、勇気を持てる。』
(『横の関係を築くアプローチ』)



第五夜 自意識について

自分にブレーキをかける自意識を除くには、以下の3つが必要。
・自己受容…『出来ない自分』を受け入れ、前に進む。
・他者信頼…他者を無条件で信じる。
・他者貢献…仲間に対し、貢献しようとする。
対人関係が上手くいかないのは、『自己受容』や『他者信頼』、『他者貢献』が出来ていないことが原因。
人生のタスクから逃げず、自分を受け入れることが『幸せになる勇気』に繋がる。
人生は点の連続。
我々は『いま、ここ』だけを真剣に生きるべき。
フロイトとは違い、アドラー心理学では物語(過去や未来)は不要。

本書を読み終えた私が、最も心に残っているのは『課題の分離』。
詳しくは話せませんが、私自身…務めている職場において『課題の分離』が出来ていないことを本書を読みながら痛感しました。

アドラーの考えによれば、現在の私は『自由に生きれていない』。
そして、『自分自身に嘘をついている』。

『他者の課題には踏み込まない』というのは、実生活に置き換えると線引きが非常に難しいですが、『課題の分離』の実践は、自分に新たなものを生み出してくれそうな気がしています。



そういえば『嫌われる勇気』は、2017年にテレビドラマ化されていたのを皆さんはご存知でしょうか?
せっかく『TSUTAYAプレミアム』に加入しているので、この機会にDVDをレンタルしてドラマを見てみるのも悪くないかもしれません。

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