『奇跡の村』/相川 俊英
繰り返される『地方再生』という言葉
『地方再生』なんていう言葉が世の中を飛び回って久しくなりました。普段地方に住む我々からすれば、『地方再生』という言葉を使っているのは、いわゆる大都市圏の人たちばかりで、どこか上から目線的な空気を感じずにはいられないのですが、それは被害妄想なんでしょうか。
一見すると『地方』は、大都市圏(東京や大阪、福岡、名古屋、札幌等)に比べて人口も少なく、どこか物寂しい印象がありますね。その証拠に、若者の多くは高校や大学を卒業すると、居住地を上記にて挙げた大都市圏へと移し、その一方で地方には高齢者ばかりが残るような現象が続いているのが現状です。
結局は、街の魅力は『人』
しかし、いくら『地方』といえども、結局はそこに住む人達の取り組みによって、その魅力は二倍にも三倍にも(もしかしたらそれ以上に!)にもなる可能性を秘めているのではないでしょうか。逆に何もしなければ、負のスパイラルに巻き込まれ地方は疲弊していく一方ではありますが…。
本書で重点的に取り上げているのは、その地方を支える『人』であり、紹介されている方々はとても精力的な人ばかり。下条村(長野県)や南牧村(群馬県)、旧・藤野町(神奈川県)といった事例が取り上げられており、それぞれの取り組み内容は同じような課題を抱えている各地方自治体にとって何らかのヒントになるはずです。
まずは、個々が出来ることから街づくりを始めましょう
確かに地方は人口が減ってきています。例えば私の住む福島県二本松市も、商店街を見ると歩いている人は少ないし、夜でも駅前を歩いている人の数はまばらです。ですが、そこに住む人達まではそうとは限りません。
役場職員の意識を半強制的(勿論いい意味で)な手法で変えてしまった村長さんの取り組みや、先進的な空き地・空き家対策、持続可能な社会に向けたトランジション運動に関わる人達など、同じく『地方』に住む私にとっては見習うべき点が多い一冊でありました。
『自分たちの住んでいる街を、もっと魅力的にしてやる!!』などと、大それたことは私一人の力では到底実現させることはできませんが、まずは自分の出来ることから実行していくことこそが、産まれた故郷への恩返しになるのではないかと、この本を読み終えて考えたのでありました。地方はまだまだ死んではいない!
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