ゴールは偶然の産物ではない/フェラン・ソリアーノ
最も成功を収めているサッカークラブ、バルセロナ
FCバルセロナといえば、スペイン国内のみならず世界で最も有名なサッカーチームの一つですね。
本書の著者であるフェラン・ソリアーノ氏は、2003年から2008年にかけてFCバルセロナの副会長を務め、クラブの立て直しに尽力された方です。
そのFCバルセロナ。
本書に書かれている通り、ソリアーノ氏が役員として着任する前は、タイトルの獲得すら覚束ないクラブの長い歴史において絶不調の時期でありました。
改革の下で進められた3つの収益源の設定
ソリアーノ氏は、他の著名なクラブ…イングランド・プレミアリーグのマンチェスターUをモデルに、バルセロナのシステムについて大きな改革を進めました。
特に氏が役員に選任された直後に定めた『3つの収益源』は、今でこそ多くのメガクラブが実施をしているものですが、当時は先述のマンチェスターUなど数えるほどのクラブでしか採用されていなかったということです。
それを改めて示しますと、以下の通りです。
①スタジアム
②テレビ放映権
③マーケティング
この3つの収益源を確立させるにあたり、本書ではフットボール界のビジネス構造の解説に踏み込みつつも、我々一般人が生きるビジネス社会に置き換えて説明をしてくれています。
その例を、本文からの引用で以下に示します。
我々は探検の成否の鍵を握る最も重要な人物を見落としがちである。
『ジャングルを選ぶ人物』こそが、探検の成功を左右する。
(本文より引用)
自分が売りたいと思う商品と顧客の欲求を満たすニーズを正しく定義したら、次の問題はケーキの大きさ、つまり狙いを定めた市場のサイズはどれくらいかということを把握する必要がある。
(本文より引用)
クラブ運営の鍵を握る要素が選手の給与。
一般的に効率的に運営されている事業の場合、人件費は収益のおよそ%ほどと言われている。
サッカー界では、人件費は収益のおよそ50~65%が妥当とされている。
(本文より引用)
イノベーションのヒントは、顧客に『何が欲しいか』を訪ねても得ることはできない。
それよりも顧客の購買活動や生活スタイルを観察し、顧客の身になって感じ、体験すること。
(本文より引用)
良い経営者、あるいは偉大な経営者というのは、曲線が方向を変える直前のほとんど兆しの見えないような時期に変更を決断し、かつその判断によって回収できない利益があってもいとわない人達。
(本文より引用)
正しく、ゴールは偶然の産物ではない。
引用だらけで誠に恐縮なのですが、一般的なサラリーマンの私にとっては、思わずそのままメモしておきたくなるような名言が満載の一冊です。
タイトルの通り、バルセロナが実際の試合にてあげる得点…ゴールは偶然の産物などでは決してなく、こういった日頃のクラブ運営の結果であるということなのですね。
しかし、これだけ持ち上げておきながら私は現在FCバルセロナについて良い感情を抱いておりません。
何を隠そう、私はここ十数年、イングランド・プレミアリーグのリバプールFCを応援し続けており、これまでスアレスやコウチーニョといったチームのエースを引き抜かれているためです。
…はい、サウサンプトンの皆様、本当にすみません。