浅見家の本棚

最後の将軍 浅見家の本棚 #59

最後の将軍/司馬 遼太郎

もう20年も経ちます、モックンの『徳川慶喜』から。

私の記憶が正しければ、1998年の大河ドラマ『徳川慶喜』における主人公・慶喜を演じたのは、モックンこと本木雅弘さんであったと記憶しています。
『だから何なのだ?』と問われてしまいますと、正に身も蓋もないわけでありますが、本作はその『徳川慶喜』の原作であったため、終始慶喜の顔にモックンを当てはめながら読み進めました。



評価が定まらない、最後の将軍・慶喜

皆さんも周知の事実ですが、江戸幕府・最後の将軍である徳川慶喜は水戸藩の出身です。
そんな水戸藩出身という人間的な下地の上に、ありとあらゆる英才教育が施され、一橋慶喜…つまり後の徳川第15代将軍が形成されたのですが、彼は評価の別れる人物であるといえましょう。
『徳川家康の再来』という高い評価もあれば、例えば鳥羽・伏見の戦いの際に大阪城から部下達に何も告げずに江戸に帰るなど、およそ家康の再来とはほど遠い行動により全く正反対のレッテルを貼られており、その評価が定まっていないのが実情です。

トップ(将軍)はトップ(将軍)なりに苦悩を抱えていた。

しかし、私から言わせればやはり慶喜は凡庸な人物などでは決してなかったと思っています。ありがちな言い方で恐縮ですが、『生まれた時代が悪すぎた』というところでしょうか。
自身の片腕となって支えてくれた側近や家臣たちが、次々と幕末という時代が生み出した凶刃に倒れ、ほぼ孤独な状態で薩長土肥や本来味方であるはずの幕府(老臣、旗本、大奥…)とも戦わなければならなかった彼の姿は、私の目からは英雄として映りました。
幕末というあの激動の時代背景を考えれば、第15代将軍は誰がやったとしても幕府は存続などできなかったでしょうし、逆に慶喜だからこそ江戸城無血開城といった歴史的事業が迎えられたと私は思っています。

来年は、戊辰の役から丁度150年という節目の年。
加えて大河ドラマの主人公は西郷隆盛。
再び徳川慶喜が大河ドラマの舞台に帰ってくるわけですが、今回はどのような人物像で我々の評価を迷わせてくれるのでしょうか。今から楽しみでなりません。

ちなみに『ヨシノブ』という名前ですが、実は私の祖父と同じ名前なので非常に親近感があります。

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