うつけの采配(上)/中路 啓太
この本の主人公は、織田信長ではありません。
戦国時代の『うつけ』といえば、やはり織田信長のイメージが強いと思います。
こんな出だしからこのブログの記事が始まるということは、本作の主人公は皆様もお察しの通り、織田信長ではございません。
それどころか、元祖・うつけが最後に標的と定めた毛利家に縁のある人間であります。
最近の歴史小説のトレンド、それは『マイナー』
最近の歴史小説のトレンド…とでも申しましょうか、例えば織田信長や豊臣秀吉、徳川家康、伊達政宗などといった超メジャーな人物ではなく、”知る人ぞ知る”的な人物を主人公に据えた作品が目立つような気が個人的にはしております。
記憶に新しいところでは、和田竜氏の『のぼうの城』がその傾向にあてはまるでしょう。
この本の主人公である、成田長親はお世辞にもメジャーな戦国武将とは言えず、かくいう私も咄嗟に思い浮かばず、手持ちの『信長の野望』でその能力を確認する始末でありました。
さてさて…気になる本作『うつけの采配』の主人公は、吉川広家であります。
皆さんご存知ですか?
毛利元就の次男・吉川元春ではありませんよ?
ちなみに吉川晃司でもありませんよ(失礼しました…)。
吉川広家に対するイメージが変わる一冊、それが『うつけの采配』です
単なる『歴史好き』に留まっている私の拙い知識では、彼…つまり吉川広家について
・吉川元春の息子
・関ヶ原の戦いで、最初から最後まで動かなかった男(空弁当の語源になった…との説も)
・安国寺恵瓊と、極端に仲が悪かった男
といった印象しか持ち合わせておりませんでした。
偶然にもこの本を読み終えた昨年は、司馬遼太郎さん原作の『関ヶ原』が実写・映画化され、大きな話題を集めました。
また、NHK大河ドラマでは一昨年の『真田丸』に続き、昨年の『女城主 直虎』と、いわゆる戦国ものが続き、世間の注目や関心が高くなっていると思われます。
皆さんもこの機会に、知られざる戦国武将について触れてみるのはいかがでしょうか。
メジャーな戦国武将は、数多の作家さんによって何かしらの小説に登場しておりますので、いい気分転換にもなるかもしれませんよ。
@liverpoolxabier