浅見家の本棚

サッカー日本代表を支えた、長谷部キャプテンのメンタル習慣術 浅見家の本棚 #101

心を整える。/長谷部 誠

何気に本ブログにおける書評カテゴリー『浅見家の本棚』も今回で101回目となりました。
記念すべき100回目の前回は、特に何も触れずスルーしましたが、よくもまぁこれだけ駄文を書き連ねたものです。
少しでも読みやすい文章が書けるよう、精進して参りますので今後も宜しくお願い致します。



さて…今回取り上げるのは2011年に発売され、大きな話題を読んだ『心を整える』(幻冬舎)です(発行部数は2013年の時点で134万部数だとか)。

今年の6月から7月にかけて行われた、2018FIFAワールドカップ ロシア大会(以下ワールドカップと呼びます)。
サッカー日本代表の躍進は未だ記憶に新しいところ。
その日本代表のキャプテンを務めていたのが、本書の著者である長谷部誠選手です。

今更、この本を採り上げるのかよ!!

この記事を読んでいる皆さんは、そう思ったはずです。
でも、仕方がありません。

私はこの上なく天の邪鬼な人間でありますので、いわゆるベストセラー本については世間のブームが終わった後に読むことにしています。

ベストセラー本には売れるだけの理由があることは存じていますので、別にその存在を否定しているわけではございません。

ただ、一時の流行に乗っかりたくないだけなのです。面倒くさい人間ですみません。

この本のタイトルは『心を整える。』。
ストレスの多い現代社会において、キャッチーなタイトルですね。

悩むこともあるでしょう、考えることもあるでしょう。
しかし、肝心の心…つまり精神部分がささくれ立っていては、思いつくことも思いつきません。
私もこの本を読んで、一度自分の心を整えてみようと思います。
勿論、自分に活かせる部分は活かしつつ、アレンジ可能な部分は色々と試行錯誤をして…。

本書は9章の構成。
それぞれ、長谷部選手が大事にしている又は意識していることが各章の題目となっており、自身を形成する様々な習慣が記載されています。

今回の書評は、その中でも自分の印象に強く残ったものをピックアップさせて頂きます。
読む人によっては、違う箇所が自分のお気に入りになることが多分にしてあると思います。
なので、まだ『心を整える。』を読んでいない方は、実際に購入してみることをおススメします。

なお、以後記載する本文からの引用については、一部自分なりに表現を変えている箇所がありますのでご了承下さい。

第1章 心を整える。

この章の題目は、正に本のタイトルと同じ。
読者という視点から勝手な解釈をさせてもらうと、この章の内容を長谷部選手は一番私達に訴えたかった部分ではないでしょうか。



我々が考えている以上に、出版社さんはほんのタイトルを付けるのに苦労していると聞きます。
それだけ考えに考え抜いたタイトルと同じ章の題目。
注目せざるをえません。
ここには、どのようなことが書いてあったのでしょうか。

・一日の最後に、意識して心を静める時間を作ること。(30分でもOK)
・整理整頓は人生の半分、心の掃除。
・時には鈍感になることも大事。他の人は私に関心を持っていない。
・愚痴は、自分の問題点と向き合うことから逃げるのと同じ。
・一人になる時間は重要。
 (本文より引用)

この章で最も印象に残っているのは、鈍感になることの大切さ。
私は『自分が周りにどう思われているのか…』ということを気にしてしまう性格です。
ですが、自分の身に置き換えてみると長谷部選手の言う通り、あまり他人に関心がありません。
ということは、他の人も私に対してそれほど関心が無い…ということです。
考え過ぎはよくありませんね。反省です。

第2章 吸収する。

『孤独』という単語を聞くと、なんだか寂しいイメージを持ってしまいます。
しかし、人間には孤独な時間が必要です。

サッカー選手は自身の能力が商売道具ですが、時にはケガや不調などにも見舞われて自分の思うようにいかないことも多々ある職業です。
長谷部選手は、チームメイトや友人との交流の時間は大事であると言いつつも、敢えて自分と向き合う際に孤独を選ぶことがあると述べています。

・自分と向き合う方法は二つ。
①孤独な時間を作ること。
②尊敬できる人に会うことで、自分を客観的に見ること。
(本文より引用)

また、この章では長谷部選手が自分のおじいさんについても触れているのが印象的でした。
人間の人生はどうなるか分からないものですが、大好きなおじいさんに背中を押されて浦和レッズへの入団を決意したとのことです。

第3章 絆を深める。

孤独は大事であるとしつつも、人間は一人では生きていけないのもまた事実。
人間関係を構築する上で、長谷部選手が大事にしていることが本章では語られています。



・悪いものは悪い。言うべきことは言うべき。
 ただし、みんなの前で言ったりせず、さりげなく。後腐れに注意。
・自分と合わない人でも、いい所を探して一度信頼する。
 こちらが好意を持てば、相手も好意を持ってくれる。
・仲間の価値観に飛び込んでみる。
・上から目線は、人と付き合うことで絶対にプラスにはならない。
・でも、必要以上に群れないことも大事。
(本文より引用)

全く関係無いですが、東日本大震災の際には『絆』という言葉が独り歩きをしていた感があります。
勿論、人と人が繋がることは大切なことですが『とりあえず絆って言っとけばいいでしょ』的な雰囲気があったのも事実ですよね。

第4章 信頼を得る。

『適材適所』という言葉があります。
月並みな言い方ですが、人間にはそれぞれ個性があり全く同じ…という人はいません。

『圧倒的なスピードは無い』
『華麗なパスをコンスタントに出せるわけでもない』
『自分の武器がいまいち分かりづらい』
自身をこのように語る長谷部選手は、当時所属していたチーム(ドイツ・ブンデスリーガのヴォルフスブルク)で生き残るために、組織の穴を埋める役を自ら買って出ていた…といいます。

人間とは得てして目立ちたがるもの。
ですが、長谷部選手はそう考えず、チームのために守備の重きをおいたプレーを心がけました。
必ず見てくれている人はいる…素晴らしい言葉です。

・組織の穴を埋める存在が求められる。必ず見てくれている人はいる。
・判断に迷った時は、人として正しいかどうかを考える。
(本文より引用)

第5章 脳に刻む。

長谷部選手は、趣味の一つに読書を挙げています。
それを踏まえて振り返ってみると、中継で見るインタビューや本書内での記載内容からは沢山本を読んでいる長谷部選手の雰囲気が感じられます。



・読書は自分の考えを進化させてくれる。
・読書ノートをつけて、心の点検。
(本文より引用)

第6章 時間を支配する。

これもよく言われることですが、我々人間に与えられた平等なものに『時間』が挙げられます。
寿命は人それぞれですが、一日は24時間。
時間について、長谷部選手は寝る前の一時間の大切さと、遅刻は絶対にしてはならないということを本章で述べています。

・寝るまでの一時間を大事にする。
・遅刻が努力を無駄にする。
(本文より引用)

自分にとっても、他人にとっても時間は大事なものですからね。

第7章 想像する。

いよいよ終盤に入ってまいりました。
この章では、『想像』について。
印象に残っているのは、下記の通り『常に最悪の事態を想定する』ということ。

長谷部選手の言う『最悪の事態を想定する』ということは、マイナス思考とは少し違って覚悟や決心を固めて事に臨むという意味です。

・常に最悪の事態を想定する。
・楽な方に流されると、誰かが傷つく。
(本文より引用)

ワールドカップで負けても、『キャプテンとして最後まで泣かなかった』と答えていたのは、このことからです。



第8章 脱皮する。

この場合の脱皮とは、『新しい考えを取り入れていく』ということ。
私の仕事においても、『例年同様に』なんて方針が出ることが多々あります。
このスタンスは非常に楽です。
楽ですが、何も生まれません。

・脱皮して生きていく。古い考えの皮は捨てなければならない。
・敢えて難しいと思った方を選択する。

必要であれば、古い考えはどんどん脱ぎ去っていかなければならないことを長谷部選手は教えてくれました。

第9章 誠を意識する。

いよいよ最後の章です。
長谷部選手の下の名前、つまり『誠』はおじいさんがつけてくれたそうです。
この一文字には家族からの様々な想いが託されているので、長谷部選手は自分の名前を意識して行動するようになったそうです。

・自分の名前に誇りを持つ。
 (嘘を付いてはいけない、人に優しくできる人間になりなさい、常に誠実でいなさい)

以上が、本書『心を整える。』において、私が強く印象に残っている部分です。
当然ながら私は長谷部選手と一度も直接話したことなどありませんが、本書を読み終えて人柄が伝わってきたようが気がします。

残念なことに、今回のワールドカップをもって長谷部選手は日本代表を引退することを表明しました。
その会見の際に、涙を見せながらインタビューに答えていた吉田麻也選手の姿が印象的でした。
多くのチームメイトに愛された、偉大なキャプテンだったことの何よりの証です。



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