若きサムライのために 浅見家の本棚 #81

浅見家の本棚

『市ヶ谷駐屯地』に行ったことがあります。

何年前でしょうか?
仕事で、自衛隊の市ヶ谷駐屯地に行く機会がありました。



一部の心無い方々からは自衛隊に対する悲観的なコメント等が寄せられている昨今ですが、『自国を守る』という一点から考えれば、日夜進歩している他国の脅威に対して、ある一定の設備・装備の強化は必要なことであると私は個人的に考えています。

加えて、近年は異常気象が多発しています。
皆さんもご存知の通り、2011年には東日本駄震災が発生。
また、2016年には熊本地震、昨年夏には九州北部の豪雨、そして相次ぐ火山の噴火(御嶽山や草津白根山)等の自然災害では自衛隊員の方々が自らの危険を顧みず、被災者の救済に尽力してくれています。

そういった側面をきちんと考えれば、やはり我々日本人には自衛隊の皆さんの存在が何よりも心強いですし、日夜の活動に対して理解を示さなければならないでしょう。

『市ヶ谷駐屯地』といえば?

前置きが長くなってしまいました。
冒頭で触れた市ヶ谷駐屯地についてです。
皆さんは、『市ヶ谷駐屯地』と聞いて、まず初めに何を思い浮かべますか?

私の場合は、これまで自衛隊について力説しておきながら大変お恥ずかしい話なのですが、まず初めに思い浮かべてしまったのは『三島由紀夫の最後』でありました。

『なんのこっちゃ?』と仰る方もいると思いますが、我が国を代表する作家の一人、三島由紀夫が1970年(昭和45年)11月25日に割腹自殺をした場所が、何を隠そう『市ヶ谷駐屯地』なのであります。
彼は当時の自衛隊が置かれている現状を憂いたことが事の発端に繋がったとされていますが、この一連の事件が起きた現場や、極東国際軍事裁判(東京裁判)の法廷となった講堂を移設・復元した記念館が市ヶ谷駐屯地内にありますので、機会があれば是非見学に行ってみることをお勧め致します。
(この出来事を一般的には『三島事件』と呼ぶそうですが、詳細についてはwikipediaでご参照下さい。)

正に『三島由紀夫』らしい一冊。現代の日本人に対する強いメッセージ。

今回採り上げる本は、その三島由紀夫が書いた『若きサムライのために』という本です。
小説ではなく、エッセイと言っても差し支えないでしょう。
本書で書かれている内容のほぼ全てが、長く続く平和(勿論平和が長く続くことは良いことです)にボケてしまった現代の日本人に対する、三島本人からの強いメッセージであると同時に遺言でもあります。
なぜならば、この本は三島が死を迎えることになる上記『三島事件』の約一年前に刊行されたものだからです。

目に見えるものが美しくても、直ちにそれが精神的な価値を約束するわけではない。
健全なる精神は、健全なる肉体へと宿る。
(本文より引用)

晩年、三島由紀夫は自身の貧弱な体に耐えられず、肉体改造ということでボディビルに励んでいたと言われています。
上に挙げた一文は、正に三島由紀夫らしい言葉だなということで、私の頭の中に今でも印象強く残っています。

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