横道世之介 浅見家の本棚 #64

浅見家の本棚
横道世之介/吉田 修一
2017年のブログの更新も、今回の記事が最後となります。
11月にリスタートしたこのブログですが、少しずつではありますが軌道に乗ってきたように思います。
今後とも宜しくお願いします。
さて、今年最後の『浅見家の本棚』ですが、吉田修一さんの『横道世之介』という作品を紹介させて下さい。
なんだこりゃ…といった感じのタイトルですが、バリバリの小説です。
タイトルが表しているのは、主人公の名前(フィクションですが)。
そして、その主人公は本当にどこにでもいそうな青年。
何でもかんでも出来るスーパーマンなんかではないところが逆にリアルで好感が持てるわけなんですが、本作の魅力を言い表すならば、そんなどこにでもいそうな主人公・世之介を取り巻く人間達や環境ではないかと思われます。
ノスタルジーの中身というものは人の数だけ種類があるのでしょうが、私としては本作を読んで
『田舎から都会に単身乗り込んできた若者がソワソワしている雰囲気』
というものに、自分を重ねてしまいました。
あの大学に入学したてのなんともいえない4月の雰囲気。
期待半分、不安半分。
初めて親元を離れた寂しさと、自由を謳歌できるという奔放さ。
思えば、私も今から14年前は地元の福島県二本松市から大学進学を機に宮城県の仙台市に引越しを致しました。
大学にほど近いアパートを借りての一人暮らしだったわけですが、やはりほとんどが初めての経験だったため、上手くいかないことだらけ。
それでも週末やら休日は一人で何でもかんでも好き勝手遊んで暮らせたことはいまとなっては本当にいい思い出です。
ただ一つだけ後悔していることといえば、あの暇を持て余していた時期にもう少し本を読んでいれば…といったところ。合コンに明け暮れていた毎日でしたね、ホントに…。
私の思い出話はこの位にしておいて、話を戻します。
大衆は飛びぬけたスーパーマンを必要とはしません。
いや…必要とはするかもしれませんが、自分とは違う世界の存在へと位置付けてしまいます。
どこにでもいそう。
自分と似たような感じ。
そんなものが貴重な世の中になってきているのやもしれません。
本作の主人公・横道世之介はそんな不思議な存在でありました。



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