『燃えよ剣』浅見家の本棚 #20

『燃えよ剣』/司馬 遼太郎

『燃えよ剣』との偶然の出会い

私が司馬遼太郎の代表作の一つである『燃えよ剣』を初めて読んだのは、実は最近などではなく、高校生の頃でございました。当時の私は、読書といえばマンガか雑誌しか読んでおらず、この本と出会った時も通っていた高校の図書館に『ドカベン』を借りに行ったのですが、運悪く他の生徒に貸し出されており、なぜか目に留まった『燃えよ剣』を訳も分からず借りてしまった…という経緯でございました。

何年振りに再読したのでしょうか。社会の厳しい荒波に揉まれに揉まれ、色々と悟りきってしまった今現在は別として、高校~大学時代の若かりし頃の自分に最も影響を与えた作品が、この『燃えよ剣』かもしれません。

もしあの時、図書館でドカベンが貸し出しされていなければ、私は『燃えよ剣』と出会うことが出来なかったかもしれません。そのような経緯で読み始めた本が自分の人生に大きな影響を与えるとは、本との出会いとは本当に分からないものです。

15年振りの再会

そこで… 何年振りか数えてみたところ、実に15年振りの再会のようでした。

久しぶりに再会した『燃えよ剣』の主人公・鬼の土方副長は、こちらの想像以上に人間臭く、そして男前でした。江戸・試衛館時代から新撰組立ち上げ、京都での活躍の日々、運命の鳥羽伏見の戦い、奥州戦線、最後の函館・五稜郭に至るまでが余りに無双過ぎて、結末を分かっているにも関わらず、『この人は本当に死ぬのだろうか』と何度も思い返す程の強さだったわけですが、彼の最後は本当に本当に呆気ないものでした。

近藤、沖田の分まで命を燃やし尽くした土方の最後

『呆気なかった』という言葉の他に、その最後は表現できそうにありません。彼は志半ばで死んでいった近藤や沖田、数々の同志まで生き、戦い、最後は疲れてしまったのではないかと私個人は思います。

間違っても薩長に降って生き残ろうという気はさらさら無かったでしょう。終盤は生きていることに飽きているようでもありました。適当な表現は見つからないのですが、『死に場所を求めている』とでもいうような。

ちなみに…私が大学生時代にネットで使用していたハンドルネーム『副長』の由来がこの作品に起因することは、ここだけの話です。

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